この取り組みは、2020年4月7日の緊急事態宣言の際に開始されました。
子どもたちもチームも、ここから3年間にわたるコロナウイルス感染拡大防止のための活動自粛の影響を受けなかったところはありませんでした。
コロナを経て、実はどのチームもかつてない深刻な状況に陥っています。
長く続いた活動自粛、大会縮小の時間は、子どもたちのスポーツ離れという深刻な状況を招いたからです。
真の意味で、今日本のアマチュアスポーツが危機に瀕していると言ってよい状況です。
そして、この状況は日本全国どこでも変わりはありません。
サッカーチームの多くは部員からの月謝で運営費を賄っている状況にあり、月謝収入が途絶えることは即クラブの収入がストップすることに直結するのです。
収入を絶たれても、所属するコーチへのお給料は払わないわけにはいきません。
しかし、それもいつまで続けられるか・・・
お給料を払えないということになると、チームからコーチの数を減らすしかありません。
そうなると、次にチームの活動が再開された時に、どうなるか?
「〇年生を担当するコーチがいない」
「公式戦にBチームが登録できない」
「遠征に連れていく引率コーチが足りない」
「複数の学年が同時に試合を組めない」
こういった問題が発生し、そのしわ寄せは子ども達の活動の制限という形で現れてきます。
ですから、サッカーチームが直面している苦境を乗り越えるために、少しでもいいから皆で支援を出し合い、支えあう仕組みが必要なのです。
「サッカーチームのスポンサー」というと有名な大企業を思いうかべるかもしれません。
しかし、グリーンカードサポーターが想定している「スポンサー」とは「チームの保護者一人ひとり」であり「同じ町内会で営業しているお店」や「地元のスポーツを応援する企業」など身近な皆さまお一人お一人です。
日本では、まだ根付いていませんが欧米では、街の少年サッカーチームを町の企業や病院がスポンサーとなって活動を支援するのがごく一般的です。
今までは、指導者のボランティア精神や手弁当に支えられてきた日本のアマチュアサッカー界ですが、ここにきて、それだけではチームの存続が危うい状況になっているのです。
こうした新型コロナウイルス拡大の影響を受ける前から、日本と海外では指導者の置かれている状況に大きな違いがありました。
次は日本と海外の指導者待遇の違いについてご紹介します。
アメリカのテキサスA&M大学の大学体育局の収入は約202億円
その半分は寄付金
そもそもスポンサーや支援者を募るには理由があります。
スポンサーや支援者が獲得できたら、選手の育成環境の改善をすることができます。指導者の勉強資金や、選手獲得のリサーチなどにかけられる資金が増えることにもつながります。
日本では手弁当、ボランティアで頑張っている指導者が多いのも承知していますが、プラスアルファがあったらもっとそのチームの指導力強化につなげることができます。
指導力が強化されたチームには、良い選手が集まります。
アメリカではアマチュアスポーツが盛んです。
なぜ盛んであり続けられるのか。
アメリカのアマチュアスポーツはスポンサーがいるのが普通だからです。
アマチュアスポーツであっても、試合の放映権を販売するなど、多岐に渡る収入ルートを確保していることもあり、指導者の待遇面で大きな違いが生まれています。
・日本の一般的なサッカースクールの監督・コーチの場合月収は15〜17万円程度、年収は200〜300万円程度。
・Jリーグの人気クラブチームののコーチでも25歳で月給20万円位。
・2019年サッカーJリーグ監督平均年俸は5916万円。
これに対し、アメリカでは大学(アマチュア)のサッカー監督の年俸が平均1億円、7億円もらっている監督もいるといわれています。
アマチュアスポーツの収益化で先行するアメリカでは、各大学のスポーツは各大学の「体育局」が取りまとめています。
2014-15年シーズンのアメリカのテキサスA&M大学の大学体育局の収入は約202億円でした。テキサスA&M大学は普通の州立大学です。体育局は大学からの援助は1円も受けていません。この金額は体育局独自の収入です。
この202億円の内訳の半分は寄付金です。アメリカにはOB・OGが寄付金を送る文化があります。母校が活躍するために援助をする文化がアメリカのアマチュアスポーツを支えているのです。
この寄付金をもとに、テキサスA&M大学は新たなスタジアムの建設を計画しています。
アメリカの大学スポーツを統括しているNational Collegiate Athletic Association(全米大学体育協会、NCAA)のモデルに追いつこうとして、日本でも大学協会「UNIVAS(ユニバス)」が2018年10月に発足しています。
体育局は大学とは別会計の独立採算組織として運営され、大学のスポーツ施設の建設や維持管理も含め、収益を上げ、それを予算として使うところまで専門的に行っています。
アメリカでは、「Sports Operation」と「Business Administration」に組織が分かれており、スポーツビジネスの専門家が、種目のプロ・アマの枠を超えてチームと連携しています。
その結果、スポーツの指導者は指導に専念し、スポーツビジネスの専門家が収益を上げることを担うという分業をしています。
ここが日本と大きく違うところです。
指導者が収益を生み出す活動をしようとすると、どうしても指導との両立が難しく、中途半端になってしまいます。
日本のアマチュアスポーツ界も、指導者は競技の指導に、そしてスポーツビジネスに精通した外部の専門家にチームのブランディング・収益化については任せる、という分業制を取り入れていく必要があります。
アメリカでは、子どものアマチュアチームや地域のリーグ戦にもスポンサーが付き、スポンサーからの支援を受けることが当たり前になっています。
こうした文化を日本にも広めていかなければ、これからの少子化時代、また今回のように新型コロナウイルスの感染拡大のような非常事態が発生した際に、チームの活動がたちまち立ち行かなくなってしまうのです。
私たちは社会がアマチュアチームを支えるムーブメントを日本でも起こそうと思っています。